精神的ストレスに効果的な香りは?
第20回アロマ・サイエンス・フォーラムに参加しました。大学の先生方や香料会社の方々がたくさん出席されていました。香りの研究はエビデンスがないと言われがちですが、毎年190程の成果が出ているそうです。形がない香りの世界、「香りが人の生活を豊かにして健康にも役立つのか」この永遠のテーマに、形のある研究成果として進んでいることは喜ばしいことです。
何回かに分けてエッセンスだけになりますが備忘録として残します。
精神的ストレスに及ぼす香りの効果 〜奥羽大学薬学部 関先生より
国民の10人に1人が生涯に一度はうつ病に罹患する時代、最初は、イライラ、怒りっぽい、憂鬱な気分、眠れなくなる、根気がなくなる、美味しいものを美味しいと思わなくなる、興味がなくなる・・・という軽度から部屋の明かりが気になる、TVの音も感じたくないという段階に進んでいく。
うつ病は心の風邪ではない。再発率は50%と高く、女性の方が多い。これはホルモンバランスによるものではないかと思われる(産後うつ等)、男性の2倍の罹患率である。
特効薬はないのが現状。セロトニンを増やす薬を処方しているが、衝動的な攻撃性を高めるようで、カッとなりやすい病気にさらに薬が促進していることが問題になっている。
精神的ストレスによるうつ病発症予防が最も重要な課題である。
レジリエンス(回復力)→ストレスをはねのける力、困難な状況や心理的ストレスを経験しても速やかに元の健康状態に戻る能力・・・精神医学分野では精神的ストレスに対するレジリエンスの獲得がストレスによるうつ病発症を阻止すると期待されている。
10人が同じストレスを受けても確率的には、1人がうつ病になる。では、なる人とならない人の差は何なのか?
うつ病に罹患する人は、血中コルチゾールが多い。逆にコルチゾール濃度が低い人はうつ病に罹患しない。
香りによるコルチゾール分泌の抑制効果が注目されている。
オイゲノールの香りにより成人のコルチゾール分泌量が低下し、オイゲノールを嗅いでいない時でも副交感神経が優位になった→リラックス状態が継続したというデータ。
ではオイゲノールの香りとは何かというと、世界三大香料のクローブの精油(70〜95%)、シナモン(90%)に含まれる。
オイゲノールを嗅ぐと攻撃性が弱まることから、香りの吸引がストレスに対するレジリエンス増強の可能性に期待したい。