「香る音楽会」調香ものがたり②

参考:The Art of Perfumery (1857)

「香り」と「音」の共通点について、イギリスの香料研究者、セブティマス・ピエスは音階の上に46種類の天然香料を配置して「香階」という概念を作りました。揮発性の高い香りが高音、持続性の高い香りが低音、という具合に並べてあります。この香階のすごいところは、単純に「香りの高さ」で並べただけでなく、和音で調和するようになっているところです。

7つの音階×6オクターブになっていて、それらの香りは、音楽と同じように組み合わせを考えることができます。

例えば、音階の始まりに位置する「ド」には「ローズ」が配置されています。

音楽に置ける「ド」は、音階の最初の音。その「ド」の音に「ローズ」というのは、ローズが古くから愛されてきた香りだからでしょうか。

同じ「ド」でも1オクターブ下には「ゼラニウム」。ゼラニウムはローズのような香りで有名ですよね。成分的にもゲラニオールというバラにも含まれる成分が入っています。

それゆえ、ローズの香水にはゼラニウムをプラスされていることも多いです。

そしてさらに1オクターブ下の「ド」には「サンダルウッド」。

この3つのブレンド、とてもいい香りでした♪これだけでローズブレンドとしてお使いいただけそう!

ここで気づかれた方がいらっしゃると思いますが、この香階の通りにローズ×ゼラニウム×サンダルウッドを同量でブレンドしたらいいのではないか?と思われると思います。

実は、ここからが調香師の腕の見せ所。同じ精油を使っていても精油の割合を変えるだけで全く違う香りになります。

例えば、ローズ、ゼラニウムはミドルノート、サンダルウッドはベースノートです。ここにトップノートの香りを加えて香水は創られます。香りの黄金比率に基づいてブレンドを行なっていきます。

1つの香りを創るのに通常は1ヶ月以上あらゆるパターンを試します。このように考えて創られたブレンドは時間を追うごとに香りが変化し、長く愛される香水として残っていくわけです。

世界には500名以上の調香師がいると言われていますが、それは世界中の宇宙飛行士の数より少ないとか。無数のブレンドがあるなか名香を創る作業は気の遠くなる無数の作業があるということ、を知って香りを嗅ぐとまた香りの感じ方も違うかもしれませんね。